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スティーブン・キング原作『シャイニング』を読んだ感想

 

はぁ…もう最高。キング様…

 

読んでる途中でどうなる事かと思ったんですが、最後まで読んだら上記のような感想になったので、ちょっと語らせてください。

 

 

 

あらすじ

 

ジャック・トランスとその妻ウェンディ、5歳の息子ダニーは、冬の間閉鎖される山の中の巨大な『オーバールック・ホテル』にやってきた。

ジャックが冬季管理人として採用されたからだ。

だがそこは過去に、管理人が家族を惨殺、他にもマフィアによる凄惨な殺人事件が起こっていた場所だった。

 

 

上・下巻のうち、上巻は主に説明が多い

 

狂っていく父・ジャックの身の上話や、妻ウェンディとの馴れ初め、酒との関係、なぜオーバールックホテルの管理人としてひと冬を過ごすことになったのか。

 

ジャック、ウェンディの親や彼らとの関係。

 

彼らの息子である、ダニー5歳の『シャイニング』の超能力。

 

ダニーに危険を知らせてくれる、彼の内なる存在『トニー』について。

 

『オーバールックホテル』の栄光と、禍々しい歴史について。

 

ウェンディもダニーも、段々おかしくなっていくジャックや謎の怪奇現象から逃げ出したくなるんだけど、なぜそんなに簡単に逃げ出せないのか。

 

 

そういったあたりの事情もこと細かに説明、描写してるんですが、正直

 

「その説明、要る?」

「無駄に長くない?」

 

と途中…特に上巻の半分ぐらいまでは、そう思いつつ読んではいました(笑)。

 

 

何故そんなイラつかせる文章表現じゃなきゃいけなかったか

 

実際、ウェンディや、特にダニー目線の章の時はめちゃくちゃ素直にスラスラ読めたし、共感できました。

 

というのは、2人はまぁ普通の感覚の持ち主だし、そもそも難しいことを言ってないから分かりやすいっていうのもあります。

 

それに対しジャックは、変に文学的というか頭がいいもんだから、彼目線の章の時は言い回しが周りくどくて、しかも言い訳したり自分の都合のいいように解釈したりして、心底イライラしてくるというか…

(ダメな男の心の声をずっと聞かされてるような気分)

 

そこを考えると、いかに父ジャックが自分に甘く、悪いものに取り込まれやすいかっていうのが納得できます

 

でもね、それすらもあとで活きてくるんですよね〜。

 

 

そういった訳で、もしこれから原作を読んでみようと思われる方がいたら、上巻の…

せめて彼らがホテルに着いて、怪奇現象が始まるぐらいまでは我慢して読んで頂きたい…!

 

 

ホテルに取り込まれていく過程がいい

 

怪奇現象も、大きいものから小さなものまでチラホラ出てきて、そういうのもまぁ面白いんですが、わたし的には

 

巨大で歴史ある、だけど冬の間は誰もいないホテルのひと冬だけの管理人であるジャックが、徐々に壊れていく過程が面白かったですね。

 

 

いい父親である時もあれば、狂気じみた酒乱の片鱗を見せる時もある。

 

「あぁまたやってしまった、こんなに自分はダニーを愛しているのに。

 

もうこんなことは二度としない、絶対に、絶対にだ。」

 

…っていうくだりを何回も何回も繰り返して、そうしているうちに段々

 

「あいつはいつもそうだ。俺が何かやろうとするといつも邪魔をして足を引っ張ってくる。

 

俺が何かヘマをするのを待ち構えてやがるんだ。」

 

というような負の感情に取り憑かれて、自分の中で色々と考え、あげくに他人を責め出して、勝手に怒りを増幅させていくんですけど、これは何だかすっごく妙にリアリティがありましたね〜。

 

私もメンタルの調子が悪かった時なんかは同じ感じでしたし、もう怒って泣いて謝って…を繰り返して、自分も、それを受け止める相手も大変なんですよね、メンタルがね。

 

…そんな感じで、描写に凄くリアリティがあるもんだから、スティーブン・キング自身もそういう経験があるのかなぁ…なんてつい想像してしまいました。

 

 

という訳で、途中までは時々ジャックに共感なんかもしてましたね〜。

 

 

読者のわたし自身も、一時取り込まれそうになった

 

何に??

 

ホテルにか…作品にか、ジャックにか、それともスティーブン・キングにか。

 

分からないけど、段々読み進めていくうちにジャックが狂い始めたら、読んでる私自身も鬱状態になってきたんですよね。

 

まぁたまたま偶然かもしれませんが、何というかジャック目線の鬱々とした文章をずっと読んでいたら、ちょっと影響してきた気が…

 

気のせいかもしれないし、私の場合、毎日ちょっとず〜つ長い期間かかって読み進めていたので余計かもしれません。

 

バーッと一気に読んだらそんな事もないのかも?

 

でも私はそんな状態だったので一応、ちょっと中断したりしてました。

 

元気な状態に読むのが一番いいかもしれないですね、こういった人間の負の感情を事細かに描写してる作品、特にそこそこ長編の小説はちょっと注意が必要かもしれませんね〜。

 

 

謎・謎・謎

 

映画版でも数多くの謎があったんですが、まぁそれは原作を読めばだいたい解決できました(多分)。

 

でもね、原作を読んだら読んだで、また新たな謎が…(笑)。

 

 

・ジャックは食糧庫に閉じ込められたけど、実際どうやって出られた?まさか本当にオバケが??

 

・ジャックは思いっきり刺されたのに、なぜそのあとも元気に動き回れた?

 

・あの植物の『生け垣動物』たちは一体何なの?何かが乗り移ってる??

 

・トニーの正体は結局ダニー自身なのか、そうじゃないのかハッキリ言ってない?

(それは続編の『ドクター・スリープ』に言及されてるのか?)

 

・ウェンディも言ってたけど、最大の謎「どこから大量の酒が湧いて出たのか」

 

ジャック自身も不思議がってたし。

 

痛み止めのエキセドリンを飲んで擬似酔い状態になったジャックが酒の幻覚を見て「酔った」と自己暗示を掛けていたのか…

 

と思ったんだけど、ウェンディもその大量の酒を目撃して「どこから出てきた?」と不思議がってたしなぁ。

 

ウェンディがちょっと疑ったように、集団催眠?

 

…違う気がする、あり得なくもないけど、ちょっと無理がある。

 

 

う〜ん、謎!

 

 

映画版と原作の違い

 

・ラストが大幅に違う

・原作はダニーの超能力について書いている

・映画に出てきた双子の女の子の幽霊は原作には出てこない

・映画ではジャックが狂っただけみたいに描かれてるが、原作ではもっと心霊現象がわんさか。 

 

もうね、別の作品として捉えた方がいいと思います。

 

原作者のスティーブン・キングは、スタンリー・キューブリック監督が作った映画版「シャイニング」に納得してない、っていう話は有名ですよね。

 

じゃぁ映画は駄目なのか?駄作なのか?

 

…と聞かれたら、そうではない、と言いたい私は。

 

確かにね、

「『シャイニング』ってタイトルなんだから、ダニーの超能力のことについてもっと描いてくれ

とは思いましたよ。

 

でもやっぱりね、キューブリック監督の狂気じみた映像へのこだわりには敵わない

 

それは映像美もですし、役者の演技に対しても相当なこだわり具合で、1シーン撮るのに何十回も撮り直してウェンディ役の女優さんがメンタルの調子を崩すぐらいだったらしいし。

 

ジャック役のジャック・ニコルソンさんとウェンディ役のシェリー・デュヴァルさんの鬼気迫る演技ときたらもうそれだけでホラーなので、そこはやはり原作は映像にかなわないんじゃないかなーと思いました。

(読む者の想像力しだいという気もしますが)

 

あとは、盛り上がる最後のあたりのシーンが映画と原作でかなり違うんですが、それがまた

 

「これはこれでいいな」

 

って思えるんです。

 

もちろん

 

「こんなの違う!もっと原作に忠実に作れ!」

 

って言う人もいると思うんですが、私は映画を先に観てから原作を読んだので余計に

 

一つの話で違う2つのラストシーンを観れて得したわ♪」

 

って感覚で…というか、この

映画→原作

の順番で観る(読む)ことによって最高の読後感を得ることができて、わたし的には本当に最高でした

 

 

まーでもディスる点もやっぱりあります。

 

先程も述べた通り、

 

・ジャックが壊れていくさま、邪悪なホテルに取り込まれていくさま

・ダニーのシャイニングという超能力について

 

それらがほとんど映画では描かれていない…というか観た後に「???」となる事が多すぎたので、もうちょっと説明して欲しかったっていうのはあります。

(もしくはそれが狙いだったのか?う〜む)

 

ま、でもオススメは

 

『映画版を観たあとに原作を読む』

 

ですね。逆だときっとガッカリしてしまいそう。

 

 

あとねーまだまだ書きたいことはあるんですが、キリがないので原作を読んでください(笑)。

 

訳者の深町眞理子さんも巻末の『訳者あとがき』でおっしゃっていますが、スティーブン・キングの作品については色んな切り口から違った分析ができるので、本作『シャイニング』についても深読みしようと思えばいくらでも出来る。

 

なので読者が各々、作品を読んで、映画も観たりあるいは創ったり。

 

で、各々がそれぞれ違った見方で解釈したり、感動したり驚嘆したり恐怖したり。

 

そんな楽しみ方もあるのかも、と初めてスティーブン・キングの作品を読んでみて感じました。

 

 

最後まで読んでみて

 

読後感は最高!

極上のホラー小説を読ませていただきました。

 

スティーブン・キングは「描写力が素晴らしい」と言われているけど、確かに!と納得でした。

 

「しつこいな!そこまで細かく書かなくていいし!あと難しいこと言い過ぎ!」

 

と思うようなところもあるけど、全て読み終わってみると、必要だったんだろうなと感じましたし…

 

で、ちゃんとエピローグ(後日談)まで書かれていて、スッキリ爽やかに終われます。

 

先ほども述べたんですが、映画を観てから原作を読むと、情景が浮かびやすくなるかもしれませんね。

 

もちろん映画では出てこないシーンも沢山あるしちょっと両者違うんですけど、

「このシーンはホテルのあの場所かな?」

という想像の助けにはなります。

 

あとはなんと言っても、映画の中のジャック・ニコルソン例のあの狂気の表情はどんな文章よりインパクトあるし、伝えきれないと思いましたねー、結局は…。

 

 

…とかグダグダ書いてるうちに、シャイニングの40年後の設定で息子ダニーが主人公の『ドクター・スリープ』の映画上映が終わってしまいそうなので、急いで観に行きたいです。

(『it』は殆どの映画館で終わってしまってる…泣)

 

それでは読んで頂きありがとうございました。また!

 

  

kanon-snowwhite.hatenablog.com

 

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